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譲渡費用にあたるもの
譲渡費用とは譲渡のために「直接要した費用」をいい、下のような費用が譲渡費用です。
- 土地や建物を売るために支払った仲介手数料など
- 登記若しくは登録に要する費用
- 印紙税で売主が負担したもの
- 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
- 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用、建物の損失額
- 測量に要した費用
- 売る契約をした後に、他へ高い価額で売却するために(更に有利な条件で売るため)最初の契約者に支払った違約金
- 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
- その他その資産の譲渡価額を増加させるために譲渡に際して支出した
譲渡資産の維持管理の費用
譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持、管理のためにかかった費用は、譲渡費用とはなりません。
資産の保有期間中に支出した修繕費、固定資産税その他資産の維持管理に要した費用は、その資産の使用収益によって生ずる所得に対応する費用となり、資産の増加益である譲渡所得に対応する譲渡に要した費用とはなりません。
譲渡費用にあたるかの判断基準
資産の譲渡に当たって支出された費用が「譲渡費用」に当たるかどうかは、一般的、抽象的にその資産を譲渡するためにその費用が必要であるかどうかによって判断するのではなく、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するためにその費用が必要であったかどうかにより判断します。
譲渡費用の具体的な判断例
住所変更登記費用
不動産を売却する際には、不動産謄本に記載の売主の住所は、売主の売却時の住所である必要があります。不動産の所有者が、最新の住所地に住所変更の登記をしていない場合には、不動産の売却時に住所変更登記を行います。
住所変更登記は、不動産を売却しなくても不動産の所有者が行う登記であり、不動産を売却をするために必要な登記ではなく、不動産の所有者が登記をしていなかったために、不動産を売却するタイミングで必要となった登記と考えます。
そのため、住所変更登記費用は、「譲渡するための直接に要した費用」ではなく、「譲渡費用」にはなりません。
旅費・交通費・宿泊費
旅費・交通費などは、支出の時期、譲渡した資産の場所、契約をした場所、支出者の住所などとの遠近、具体的な支出の内容、金額などから、譲渡のために必要不可欠であるか否か、譲渡価額を増加させる有益性が認められるかを判断します。
そのため、譲渡費用として認められる場合と認められない場合があります。
残置物の撤去費用
建物を売却する際に、建物を現状有姿のまま売却することがあり、その際に、家財等、家の中にあるものは、撤去して引渡す場合があります。
建物内の家財等の撤去費用は、通常、資産の維持や管理のためにかかった費用に該当するため、譲渡費用になりません。ただし、買主からの要望で、残置物の撤去が譲渡の条件となっているような場合は、譲渡費用にできる可能性があるでしょう。
売買契約書の特記事項などに、残置物の撤去が譲渡の条件であることが明確にうたわれているような場合は、譲渡費用になるものと考えます。
飲食代
飲食代が譲渡費用になるかは、支出の時期、同席者の取引における役割、支出の経緯、具体的な支出の内容、金額等から、取得または譲渡の実現に通常必要不可欠であるか否か、あるいは、譲渡価額を増加させる有益性が認めらるかを判断します。
飲食代は、資産の取得または譲渡の際に通常必要であるとまではいえず、一般的には、取引の経過でたまたま飲食の機会があったとしても、日常的な生活費とし、あるいは、譲渡を実現するための必要性や有益性が希薄であるとして、譲渡費用として認められないことが多いと考えます。
修繕費、リフォーム費用
修繕費は、固定資産の通常の維持管理のため、または災害などにより棄損した固定資産の原状回復のために支出しますので、譲渡所得の取得費または譲渡費用にあたりません。
譲渡資産の修繕費、固定資産税その他のその資産の維持または管理に要した費用は、その資産の使用収益によって生じる所得に対応する費用であって、資産の値上がりによる価値の増加益である譲渡所得に対応する譲渡に要した費用には該当しません。
ただし、家屋をリフォームすることで売買が初めて成約する場合や、譲渡価額を高める事情の下で売買契約の特約としてリフォームを行う場合など、リフォーム工事が家屋の使用収益のためでなく、家屋の譲渡のみを目的として行うのであれば、そのリフォーム費用は、取得費、譲渡費用に該当する支出があるものと考えます。
測量費用
土地の譲渡の際に支出した測量費は、譲渡費用に該当します。
一筆の土地の一部を分筆して譲渡する場合に、譲渡する部分の土地を特定し地積を確定するために、その一筆の土地を測量します。この場合、その測量が分筆した後の一部の土地の譲渡に必要不可欠であれば、その一部の土地に対応するものとして、支払った測量費を面積按分等する必要はないと考えます。
抵当権抹消費用
抵当権を抹消するために支払った債務、利息等は、譲渡費用に該当しません。
抵当権抹消登記手続き費用は、譲渡費用に該当しないとされています。
弁護士費用
不動産譲渡が、不動産の遺産分割の後に行われることがあります。揉めている相続で、遺産分割の際に、弁護士費用が発生することがあります。遺産分割調停を弁護士に依頼して行う場合です。この時の弁護士費用は、あくまで遺産分割に関して発生した費用であり、遺産分割後に不動産の売却を行ったとしても、不動産譲渡のために直接要した費用ではありませんので、譲渡費用には該当しません。
他方、貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらう必要があり、その交渉を弁護士に依頼した場合や、土地の境界について争いがありその解決に弁護士費用が要した場合などは、不動産譲渡のために直接要した費用といえますので、そのような場合の弁護士費用は、譲渡費用に該当します。
税理士費用
通常、不動産売却にあたって、税理士が必要となることはありません。税理士が必要となるのは、不動産売却の後に、不動産譲渡について、譲渡所得の確定申告を行う場合です。譲渡に関する確定申告の費用は、不動産売却後の税務申告費用ですので、不動譲渡のために直接要した費用ではなく、譲渡費用には該当しません。
