ケース別の小規模宅地特例の適用可否
相続税の計算をする上で非常に重要な特例である「小規模宅地等の特例」。この特例を利用できるかどうかで、相続税額が大きく変わることがあります。
被相続人(亡くなった方)が老人ホームに入居していた場合、この特例を適用するにはいくつかの要件を満たす必要があります。特に注意が必要なのが、被相続人が老人ホームに入居した後に、空いた自宅に「生計を別にする親族が引っ越してきた場合」です。
この場合には、被相続人が一人暮らしだったか、被相続人が子供夫婦と同居していたかにより、小規模宅地等の特例の適用の可否が異なります。
被相続人が一人暮らしだった場合
一人暮らしの被相続人が老人ホーム入居後、空いた自宅に生計を別にする親族が引っ越してきた場合です。
このケースでは、残念ながら小規模宅地等の特例は、適用できません。
被相続人が一人で住んでいた自宅が、老人ホーム入居後に空き家になったため、生計を別にするお子さんやお孫さんがその家に入居した場合などがこれに該当します。
特例の要件として、被相続人の居住の用に供されなくなった宅地が、その後「新たに被相続人等以外の者の居住の用に供された宅地等」に該当すると、特例の対象から外れると定められているためです。
被相続人が子供夫婦と同居していた場合
被相続人が同居していた子供夫婦の自宅に、老人ホーム入居後、生計を別にする孫が引っ越してきた場合です。
このケースでは、特例の適用が可能です。
被相続人がお子さん夫婦と同居していた家で、老人ホーム入居後に空いたスペースに、別生計のお孫さんが引っ越してきても、特例が適用できます。
これは、措置法通達69の4-7の(注)において、「被相続人の居住の用に供されていた1棟の建物に係るものである場合には、当該1棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち当該被相続人の親族の居住の用に供されていた部分が含まれる」と定められているためです。
つまり、家屋全体が1つの建物として見なされ、もともと同居していた親族が引き続き居住しているため、特例の対象となるのです。


