高度障害保険金とは
高度障害保険金とは
被保険者が疾病または傷害により、高度障害状態になると、死亡保険金と同額の高度障害保険金が受け取れます。 ただし、受け取った時点で保険契約は消滅しますので、死亡した場合に重複して保険金が支払われることはありません。
個人契約の場合、高度障害保険金の受取人は一般的に被保険者本人となっていますが、受取人が配偶者、子供などの親族となっている場合もあります。
高度障害状態は、保険契約の約款に定められますが、両眼の視力を全く永久に失ったり、言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った場合などがあります。
高度障害保険金の受取対象となる高度障害状態
高度障害保険金の受取対象となる高度障害状態は、次のような状態です。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの・言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
公益財産法人生命保険文化センターのウェブサイトより
なお、国が定める身体障害者福祉法で身体障害等級1級に該当しても、約款で定める高度障害状態に該当しない場合は、高度障害保険金は受け取れないものとされています。
指定代理請求制度
高度障害保険金の受取人は一般的に被保険者本人となっています。しかし、受取人である被保険者本人に意思能力がないなど、高度障害保険金を請求できないときは、契約者があらかじめ指定した「指定代理請求人」が請求する指定代理請求制度を多くの生命保険会社が取り扱っています。
なお、指定代理請求人の範囲は、「被保険者と同居または生計を一にしている戸籍上の配偶者または3親等内の親族」など、生命保険会社によって異なります。
高度障害保険金の受取人が契約者の場合の課税関係
父親を契約者(保険料負担者)及び被保険者とし、高度障害保険金の受取人が被保険者本人(父親)である場合に、父親が重度障害になり、父親が保険会社から高度障害保険金を受け取る場合には、課税関係はどのようになるのでしょうか?
所得税の取扱い
「身体の傷害に基因して支払を受ける」保険金、損害賠償金等は、所得税が非課税と規定されています。
そのため、父親が高度障害になり、父親が保険会社から高度障害保険金を受け取ったとしても、父親に対して、所得税は課税されません。
相続税の取扱い
父親が保険会社から高度障害保険金を受け取った場合には、その保険金は父親の財産となります。父親がその保険金を使い切らないで亡くなる場合には、その残額に対して父親のその他の財産と合わせて、相続税の課税対象となります。
この時、高度障害保険金の未使用の残額に対して、生命保険の非課税金額の適用はありません。
生命保険金の非課税金額 = 500万円 × 法定相続人の数
保険契約について、生命保険金として受け取る場合と高度障害保険金として受け取る場合とを比較すると次のようになります。
| 生命保険金として受け取る場合 | 高度障害保険金として受け取る場合 |
|---|---|
| ①生命保険金の受取金額が相続財産となります。 ②生命保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)を超える金額について、相続税が課税されます。 | ①高度障害保険金として受取金額から私用金額を引いた残りの金額が、相続財産となります。 ②生命保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)の適用はありません。 |
相続税の観点からは、他の生命保険契約で「生命保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)」の適用がないのであれば、高度障害保険金を生前に受け取るよりも、生命保険金として受け取り、「生命保険金の非課税金額」の適用を受ける方が、相続税の税負担が少なくなります。
高度障害保険金の受取人が契約者以外の場合の課税関係
父親を契約者(保険料負担者)及び被保険者とし、母親が高度障害保険金の受取人である場合に、父親が重度障害になり、母親が保険会社から高度障害保険金を受け取る時の課税関係はどのようになるのでしょうか?
所得税の取扱い
「身体の傷害に基因して支払を受ける」保険金、損害賠償金等は、所得税が非課税と規定されています。また、身体に障害を受けた者以外の者が受け取る保険金等も所得税が非課税となります。
所得税基本通達 9-20 (身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等)では、次のように規定されています。
令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。
そのため、父親が高度障害になり、母親が保険会社から高度障害保険金を受け取ったとしても、所得税は課税されません。
贈与税の取扱い
「被保険者=A、保険料負担者=B、保険金受取人=C」といった、被保険者、保険料の負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合の「死亡保険金」には、保険金受取人に対して、贈与税が課税されます。
高度障害保険金は、死亡保険金とは異なりますので、贈与税の課税はありません。
相続税の取扱い
母親が保険会社から高度障害保険金を受け取った場合には、その保険金は母親の財産となります。税務上は、母親が受け取った高度障害保険金について、所得税は非課税という整理の下で、母親の財産となります。
母親がその保険金を使い切らないで亡くなる場合には、その残額に対して母親のその他の財産と合わせて、相続税の課税対象となります。
なお、母親が受け取った高度障害保険金は、母親の財産ですので、被保険者である父親の死亡時に、高度障害保険の未使用残額について、父親の財産として、父親に係る相続税の課税対象となるという取り扱いにはなりません。
