未分割遺産の相次相続における相続税の考え方

相続が発生したものの、遺産分割が未了のまま次の相続が起きたら?

遺産分割協議がまとまらないうちに、相続人のうちの一人が亡くなってしまい、次の相続(二次相続)が発生してしまうケースがあります。このような場合、「未分割遺産の相次相続」として、相続税の計算が複雑になるため、注意が必要です。

今回は、以下のようなケースを例に、相続税の申告・納税について解説します。

相談事例

令和元年に夫であるAが亡くなりました。相続人は、配偶者のB、長男のC、次男のDの3名です。Aの相続については、遺産分割協議が未了のまま相続税申告を行わず、相続登記もされていませんでした。

その後、令和5年に配偶者のBが亡くなり、Bの相続が発生しました。このとき、Bの相続財産は基礎控除額を上回っているため、Bの相続税の申告が必要なことが判明しました。

この状況で、Aの未分割財産のうち、Bの法定相続分である2分の1相当額を、Bの相続財産に加えて相続税の申告を行う必要があるのでしょうか? 

未分割遺産の相次相続、ポイントは「遺産分割」のタイミング

結論から申し上げますと、Bの相続にかかる相続税の申告期限までに、Aの相続財産について遺産分割協議が完了すれば、Bの相続財産にAの法定相続分(2分の1)を加算する必要はありません。

相続人が長男Cと次男Dの2名となる二次相続(Bの相続)の遺産分割協議において、第一次相続(Aの相続)の遺産についても併せて分割協議を行うことができます。

具体的には、Aの相続人としての地位をBから引き継いだ長男Cと次男Dが、二次相続の遺産分割協議と同時に、第一次相続の遺産分割協議を行うことになります。

この場合、第一次相続の遺産分割協議において、Aの遺産をBが取得しない形で分割することが可能です。その結果、Bの相続財産にAの未分割遺産を含める必要がなくなるため、Bの相続税の課税対象にはなりません。

遺産分割が間に合わない場合の注意点

二次相続の申告期限までに第一次相続の遺産分割協議が完了しなかった場合は、話が変わってきます。

この場合、第一次相続の未分割財産のうち、Bの法定相続分である2分の1は、Bの相続財産として相続税の課税対象となります。

相次相続控除への影響

相次相続控除の適用についても考慮が必要です。 相次相続控除は、今回のケースのように、10年以内に続けて相続が発生した場合に、前の相続で課税された相続財産の一部を、次の相続で控除できる制度です。 未分割遺産がある状態で相次相続が発生した場合、相次相続控除の適用も影響を受ける可能性があります。

二次相続の申告期限までに遺産分割協議が完了せず被相続人Bの法定相続分がBの相続財産に含まれる場合:

この場合、被相続人Bは第一次相続の財産(Bの法定相続分)を取得したものとみなされ、Bの相続財産に加算されます。 したがって、この加算された財産は相次相続控除の対象となり得ます。

二次相続の申告期限までに遺産分割協議が完了し被相続人Bが第一次相続の財産を取得しなかった場合:

被相続人Bが第一次相続の財産を取得していないため、Bの相続においては第一次相続で課税された財産が存在しないことになります。このため、相次相続控除の適用は受けられない(あるいは、控除の対象となる金額が発生しない)ことになります。

具体的な控除額は、第一次相続で課税された相続税額や、Bの相続財産に占める第一次相続財産の割合などに基づいて計算されます。 このように、未分割遺産の相次相続では、遺産分割のタイミングが相続税の計算だけでなく、相次相続控除の適用にも大きく影響するため、専門家と相談しながら慎重に進めることが重要です。