不動産管理法人への建物移転時の売買価額

個人から法人への建物売却時の売買対価について、説明します。

個人から法人への売却金額

個人から法人への建物売却時の価格は、建物の時価で行います。建物の時価は、建物の未償却簿価として、実務上は特段問題は生じないとされています。そのため、個人は、未償却簿価での法人への建物の売却を行います。このことで、個人では、建物売却に伴い、譲渡益も譲渡損も生じません。

帳簿価額=時価、とする根拠

帳簿価額=時価として、帳簿価額により、個人から法人への売却を行うことで、実務上、特段の問題は生じないと考えられます。帳簿価額=時価とすることの根拠として、法人税法基本通達9-1-19(減価償却資産の時価)があります。

法人税法基本通達9-1-19(減価償却資産の時価)
9-1-19 法人が、減価償却資産について次に掲げる規定を適用する場合において、当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時からそれぞれ次に掲げる時まで旧定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認める。
(1) 法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》 当該事業年度終了の時
(2) 同条第4項《資産評定による評価損の損金算入》 令第68条の2第4項第1号《再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額》に規定する当該再生計画認可の決定があった時
(注) 定率法による未償却残額の方が旧定率法による未償却残額よりも適切に時価を反映するものである場合には、定率法によって差し支えない。

未償却簿価が1円の場合

原則として、個人から法人への建物の売却時の売買価額は、建物の未償却簿価とします。しかし、建物が償却済みで、未償却簿価が1円の場合には、建物の売買価額を1円とすることが、適切でないとも考えられます。そのため、建物の未償却簿価が1円の場合には、建物の固定資産税評価額などを、建物の売買価額とすることを検討すべきです。

未償却簿価が1円で、建物の売買価額を固定資産税評価額とする場合には、建物を売却する個人では、建物売却に伴い譲渡益が生じますので、譲渡所得について、確定申告をする必要があります。

対価の未払いは可能か?

個人から法人への建物の売却を行う場合に、売買価額について、対価の支払いを行うことが原則ですが、売買対価について、法人が個人に未払い(個人が法人への未収)とすることもありますが、下の点に留意が必要です。

将来、個人の相続の際には、個人の法人への未収金(貸付金)は相続財産になるため、相続税対策上は、先々、どのようにして、個人の法人への貸付金を消すのかを考えておく必要があります。

また法人へ移転する建物について、個人で銀行借入がある場合には、実際に売買金額の支払いを行わずに、法人での未払金(個人の未収金)とすることは、金融機関での融資の審査において、認められないことが多いものと思います。