親の家をリフォームする際の盲点!贈与税課税を回避するポイント

親の住んでいる家をリフォームしてあげたい、あるいは二世帯住宅にしたい、といったご要望はよく聞かれます。しかし、そのリフォーム費用を子供が負担する場合、思わぬ贈与税が発生することがあります。

なぜ贈与税がかかるの?

建物をリフォームすると、そのリフォーム部分は「付合(ふごう)」といって、建物と一体化し、切り離せないものとなります。そのため、リフォームされた部分は、もともとの建物の所有者、つまり親のものになります。

リフォーム費用を子供が支払ったとしても、そのお金で価値が高まったのは親の建物です。税務上では、この行為は「子供が親に対してリフォーム費用を贈与した」と見なされ、贈与税の課税対象となってしまうのです。

贈与税をかけずにリフォームするには?

贈与税を回避しながら親の建物をリフォームする方法は、主に以下の2つです。

リフォーム前に建物の名義を子供にする

リフォームの前に、建物自体の名義を親から子供に変更する方法です。

①売買(譲渡)で名義を変える

親から子供へ建物を売買し、所有権を移します。この際、親に「譲渡所得税」がかかる場合がありますが、これを回避する方法があります。

建物の売買金額を、親がその建物を取得した際の金額から、減価償却費相当額を差し引いた「未償却簿価」と同額に設定することで、譲渡所得は発生しなくなり、結果として譲渡所得税はかかりません。

例えば、親が1,500万円で取得した建物の未償却簿価が500万円だった場合、子供への売買価格を500万円とすることで、譲渡所得税はかからない、という考え方です。

②贈与で名義を変える

建物の評価額が高い場合は、親から子供へ建物を贈与する方法もあります。

このとき、「相続時精算課税制度」を利用すれば、合計2,500万円までの贈与であれば、贈与税を納める必要はありません。この制度を利用するには、親が60歳以上、子が20歳以上であることなどの要件を満たし、税務署への届け出が必要です。

なお、この制度を利用して贈与された財産は、贈与した親が亡くなった際に、相続税の課税対象となります。つまり、相続時精算課税制度は贈与税をゼロにする制度ではなく、贈与した財産を相続時にまとめて精算する制度となります。

リフォーム費用に見合う建物の持分を子供にする

リフォームの後に名義を変更する方法です。子供が支払ったリフォーム費用に相当する金額分の「建物の持分」を、親から子供へ移転させます。

たとえば、建物の評価額が1,000万円で、リフォーム費用に500万円かかったとします。この場合、リフォーム費用は建物の評価額の半分にあたるため、建物の持分2分の1を親から子供へ移転させて共有名義で登記を行います。こうすることで、子供が支払ったリフォーム費用分は贈与と見なされなくなり、贈与税の課税を回避できます。

リフォーム費用に見合う建物の持分を子供にする場合の計算例

親名義の建物をリフォームする際、子供が費用を負担すると、原則として贈与税がかかります 。これを回避する方法の一つに、リフォーム費用に相当する建物の持分を親から子供へ移転するというものがあります 。

では、具体的にどのように持分を計算するのでしょうか。

贈与税を回避するための持分計算

贈与税の課税を避けるには、増改築前の家屋の所有者(親)と、増改築資金を出資した者(子)との価値の割合(持分)が等しくなるように、単独名義だった家屋の登記名義を変更する必要があります 。

【ケーススタディ】

増築前の家屋の時価: 3,000万円(親の負担分) 

増築にかかった費用: 1,000万円(子の負担分) 

この場合、増築後の建物の価値は、増築前の時価3,000万円と増築代金1,000万円を合計した4,000万円となります 。

親と子のそれぞれの持分は、以下の計算式で算出します 。

親の持分: 

子の持分: 

この計算結果に基づき、親の持分を4分の3、子の持分を4分の1として登記すれば、贈与税は課税されません 。

譲渡所得の取り扱い

このケースでは、「増改築前の家屋の時価3,000万円の4分の1部分(750万円)」を親が子に譲渡し 、「増築部分1,000万円の4分の3部分(750万円)」を子が親に譲渡した 、と税務上は考えます。このそれぞれの債権を相殺することで取引が完了します 。

この取引では、親と子ともに譲渡所得は生じません 。

親の譲渡所得: 増築前の家屋の4分の1の譲渡は、750万円で譲渡したものとして取り扱われます 。増築前の家屋の時価3,000万円が未償却残高であれば、取得費も同額の750万円となり、譲渡所得は生じません 。

子の譲渡所得: 子から親への譲渡についても、譲渡収入金額(750万円)と取得費(1,000万円 × 3/4 = 750万円)が同額となるため、譲渡所得は生じません 。

リフォーム費用に見合う持分を子供にする場合の登記上の取り扱い

リフォーム費用に相当する建物の持分を親から子供へ移転する場合の法律上の考え方は以下のようになります。子供が母親のマンションにリフォーム工事する場合で説明します。

まず、子供が、母親が支払うべきリフォーム費用を立て替えて支払う、という形になります。これにより、母親は、子供に対して、リフォーム費用を返済する義務(債務)を負います。この返済義務を、現金ではなく、母親が所有するマンションの持分で支払うことになります。このように、本来支払うべき金銭(リフォーム費用)の代わりに、別のもの(マンションの持分)を渡すことで債務を弁済することを、代物弁済といいます。

したがって、法務局で持分移転の登記を行う際には、「代物弁済」を原因として登記を行います。この手続きにより、親から子へのリフォーム費用相当額の贈与があったとは見なされず、贈与税の課税を回避することができます。